4月6日(いわゆる「内閣府見直し法案」、正式名称は「内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律案」について、法務省の27年度予算案についての記者発表の文書の中に「法務省訟務局新設」という記載)

 やはり訟務局の新設(復活)は、平成27年度からという予定だったよう(予算案がまだ衆議院で審議中で、法務省設置法の改正も含む上記正式名称「内閣の重要政策に関する総合調整等に関する機能の強化のための国家行政組織法等の一部を改正する法律案」(3月24日内閣提出)も衆議院で審議中という状態のため、法務省組織令の改正ができず、訟務局長の任命を初めとする訟務局付への検事の異動を含む諸手続にも入れないということなのではないかと推測される。
 この法案の最後には、施行の時期は平成28年4月1日と記載されているが、法務省の組織令の改正による訟務局新設の時期まで、平成28年4月1日になってしまうというわけではないのであろうと思われる(前記のとおり、法務省の平成27年度の予算案の説明では、訟務局新設の時期が当該年度と明記されている。)。

 それにしても、上記法案の内容には驚いた。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g18905054.htm
 そのうち法務省設置法関係の部分は、次のとおり。

「第七条 法務省設置法(平成十一年法律第九十三号)の一部を次のように改正する。

  第三条に次の二項を加える。

 2 前項に定めるもののほか、法務省は、同項の任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする。

 3 法務省は、前項の任務を遂行するに当たり、内閣官房を助けるものとする。

  第四条中「前条」を「前条第一項」に改め、同条第十二号中「勾留」を「勾留」に改め、同条に次の一項を加える。

 2 前項に定めるもののほか、法務省は、前条第二項の任務を達成するため、同条第一項の任務に関連する特定の内閣の重要政策について、当該重要政策に関して閣議において決定された基本的な方針に基づいて、行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画及び立案並びに総合調整に関する事務をつかさどる。

  第十八条第一項中「第四条第二十一号」を「第四条第一項第二十一号」に改める。

  第二十一条第一項中「第四条第三十二号」を「第四条第一項第三十二号」に改める。」

 法務省だけでなく、そのほか多数の省の設置法について、同じような改正をしようという内容なのである。

どのような経緯で、このような法案が作成されるようになったのだろうかと調べてみた結果によると、
 どうも最初は、稲田朋美さん

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A8%B2%E7%94%B0%E6%9C%8B%E7%BE%8E

が講演会で「訟務局の復活を」ということを強く主張された(http://www.sankei.com/politics/news/140726/plt1407260001-n1.html)
ことに端を発して、その考えが内閣で採用されて、平成27年度に法務省に訟務局新設という方針が決められたが、その後、法務省の組織令の改正だけで済ませられるようなものではないということから、いろいろ検討を進める課程で、丁度内閣府の事務の見直し法案作成のための検討が進められていたことから、この法案の中に新たに内閣の重要政策に関する各省間の総合調整等についての規定を追加しようということになって、急遽、このような内容の法案が作成されて、国会に提出されたが、新聞記者への発表は、単に「内閣府の見直し法案」の提出という程度の説明にとどまったので、新聞記者たちはもとより、国会議員たちも、与野党を問わず、誰もこのような重大な内容を含む法案の提出ということに気付いていなかったのではないかと推測される。
例えば、北海道新聞の記事は、この程度の説明だけ
http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/politics/politics/1-0115112.html 
 仮に気付いていたとすれば、先日の辺野古の問題についての農林水産大臣の執行停止の決定を防衛省とは全く別の独立した立場による意思決定などと説明するのは、おかしいという考え(まさに内閣の重要な決定に関する省庁間の総合調整の結果に過ぎない。)が、強く主張されたはずである。

 この法案の当否については、国会で十分議論を尽くす必要があるのではないかと考えている。